差し伸べてくれた手は傷だらけでした
白い雪の、赤い血の、中に居た黒。
惹かれる物を感じたのだ、ただひたすらに。
その理由は、光景がただ綺麗だったからか、それとも、自分と同じニオイを感じたからなのか、よくわからない。
わからないのに、思わず手を掴んでしまっていた。
「放してください。」
「いやだ、と言ったら?」
「この手首ごと切り落とします。」
用意された鈍色に、高杉の心は弾んだ。
綺麗に澄んだ刃だ。
彼は、これでいったい何人の心臓を落としてきたのだろうか。
「なんだよ、手首を落とすんじゃなかったのかよ。」
挑発を仕掛ければ、その獣は刃を振りかざした。
悪意しかないその刀を、高杉は間合いを詰めることで回避する。
そのままの0距離で、高杉は獣に口付けを落としてやった。
「ご馳走様。次は落とすぜ。」
「…え?」
とたんに人間に戻った山崎を、高杉は一瞥する。
高杉が興味を持ったのは、山崎でなく、その中に居る獣だ。
彼本人に、さして興味は無い。
「な、なにがどうなってるんだよ」
あるき始めれば、後ろから追ってくる気配は無い。
これから楽しみが増えた、と高杉は笑うと、路地裏に消えた。
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高山出会い話ですね。
これは山崎が真選組を裏切るか裏切らないかで悶々としてると可愛いです。
あ、こっから先の話ですけど。