鎖につながれた私を優しく包むのは誰ですか?


「室長は、結婚とかしないんですか?」
「…リナリーと」
「それ以外で。」


部下に話を止められ、ボクは少しむっとしたふりをする。
ここで拗ねないと、きっと彼は相手にしてくれない。


彼のことを好きだと自覚したのはつい最近だった。
無意識下に好きだったのはずいぶん昔からだろうが。


しかしこの部下は、ボクをいいところ『面白い人間』、もしくは『ダメな上司』としか思っていないだろう。
だからボクは、その期待が裏切れない。
そうでもしないと、この生ぬるい関係が終わってしまうから。


僕のコーヒーを入れてくれた彼が、こちらへと歩いてくる。
これだけで動悸が止まらないボクはもう末期だろう。
こんな恋愛、したことがない。


「リーバー君こそ、そういうのは無いのかい?」


冗談の範囲で聞いてみた。
本当は、凄い緊張している。
だってこれで、恋人が居るって言ったら?


僕はしばらく立ち上がれないだろう。


まぁ、実際のところ居ても居なくてもこの恋は成就しないのだけど。
成就したら、僕の心臓が持たない。
だけど、いつだって僕の期待は裏切られる。


「したい人は居ますよ。」
ほら、きた。
「へぇー、意外。どんな人?」


「なんか普段は凄いダメ人間で、その時は可愛くて仕方ないって思うんですよ。」
なんか、とても彼が幸せそうで。
「ふーん。」


「でも、真面目な時とか凄いかっこよくて。そのギャップにやられちゃいましたね。」
だんだん、聞いていてつらくなってきた。
「そっか。綺麗な人?」


「…まぁ、綺麗ですよね、どっちかって言うと。」
彼がこっちをジーっとみつめながら言う。
羨ましい、羨ましい。


「もう、四六時中その人のことしか考えられないくらい好きですね。」
疎ましい、妬ましい、君のハートを掴んだのは
「誰?」


「だから、」
あぁ、もう僕の話すら聞いてない。
涙が出てきそうだ。
仮にも室長が、こんなんじゃダメじゃないか。
ボクは、ぎゅっと目をつぶった。


「俺と付き合ってください。」








「…リーバー君、ここには女の人なんか居ないけど。」
「そうですね。」


「なに、リーバー君、幽霊、見えちゃうとか?」
「見えないですね。」


「じゃ、じゃあいったい誰に言っているの?」
「コムイ・リーにですね。」


頭が真っ白だ。
なんか全てがぱーんと飛ばされた感じ。
あ、あれ、もしかしてパニック状態?
…昨日の夕飯おいしかったなぁ…
ちがう、今はそんなこといいから。


「やっぱり、俺じゃダメですか?」
「そ、そんなこと…」


「そうですよね、室長、リナリーの事愛してますしね。」
「そう、でもない、よ」


「でも、男に告白されて気持ち悪いでしょう?」
「そんなことない!」




「じゃあ、俺の事好きですか?」
「当たり前じゃないか!…あ、」




じゃあ、両思いですね。
そういって子悪魔リーバーは室長室を去っていった。



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初!
Dグレ小説です。

いやぁ、いいですね。
リバコム!!


ただ、書いてみて読み専門だなぁと確信しましたよ。
私が書くと室長が不憫だww