その景色を切り取って。
瞳の中にしまいこんで。
結局彼に、何が残ったのだろう。
後ろの正面だぁれ
河上の携帯に、珍しい名前が浮かび上がる。
いや、着信でこの名前を見るのは初めてかもしれない。
河上はその携帯をジーッと見つめている。
かかってはいけないはずの、名前だった。
「も、しもし。」
声が裏返る。
こんな恐怖に苛まれたのは久しぶりだった。
「やぁ、河上殿。」
聞えた声に、河上は絶望を覚えた。
やはり、自分は甘いと思う。
なぜ、あの場で一思いに止めを刺さなかったのか。
あの時はこの状況を望んでいたのを忘れて、河上は一人思考に沈んでいる。
その状況を知ってか知らずか、電話の向こうは黙っていた。
少しだけ、遠い、笑い声がする。
「怖がらなくてもいい。別に呪い殺そうとかで電話したわけじゃない。」
「なら、如何様で?」
「ふふふ、なんだと思う?」
また少し遠い笑い声がした。
どうも、周りには子供がいっぱい居るらしい。
河上はその事実に少しだけ首をひねった。
確か、彼は子供が嫌いなはずなのに。
ふと、河上は顔を上げた。
まさか、そんなことは無いと打ち消すが、やはりそれしか思い浮かばない。
「ただ、君にね。」
「君に、君に、」
ふ、と音が消える。
イヤホンからは大音量が流れているはずなのに、河上の耳には男の声しか入ってこなかった。
目頭が熱くなるのが解る。
近くに居る子供が騒ぐ。
しかし、その声すらも河上には届かない。
すでに、その子供の声が電話から聞こえるのか、自分の耳に直接聞えているのかも解らないほど河上は焦っていた。
「復讐がしたかったんだ。」
後ろに居る存在は河上も気付いていた。
真っ黒い服装をした死神が、立っている。
くすんだ黄色を靡かせて、青年はこちらに来るのだ。
振り返れなかった。
恐怖で河上は動けなかったのだ。
なぜ、なぜ、今ごろになって。
「ねぇ、河上殿。」
腕がある。
斬りつけられる。
眼鏡が無い。
河上の意識はそこでブラックアウトした。
「はい、はい、えぇ、では。」
先ほどと携帯を取り替えて、青年は真選組に電話をしていた。
もう服装も戻し、携帯は鞄の奥底にしまった。
もう二度と見ないと思っていた彼の所有物の中に、恋文が入っていた。
愛していたでござる、と書かれたそれは、彼の懐の中に大事にしまわれていて。
悔しかった、ただ単純に悔しかったのだ。
昔は私だけのものだったのに。
歩き出すと、胃から生暖かいものがこみ上げる。
やはり、人殺しには同じ道しか残されていないらしい。
真っ黒い少年は、ただ、泣きながら私を貫いた。
==========
さてさて。
意味がわからない万誕ですね。
いやぁ、だって病サイトだし。
3人ぐらい死なないと、ねぇ。
水菜の小説じゃないですもんね。
あ、補足いります?(いらないわけあるか
鷹久様主役です。
万鴨前提山→万→鴨←鷹
…説明しても意味がわからないww