続き


後ろを振り返れば、笑ったあなたがいるだろう。


すべてが計画通りだと、その聡明な瞳で。
僕は認められると、その薄い唇で。
君に死んでもらうと、その表情で。


愛していたんだ。
頭のよいあなたを。
とても冷たいあなたを。
寂しがりやな、あなたを。


最後の一撃すら与えてくれないのなら、振り向いてなんかやらない。
俺ばかりあなたを思うのは少し苦しいから。
苦しめばいい、あなたなんか。



居なくなった気配に、俺は涙をこぼした。






雨の降り始めた道端は、とても寒かった。
それは、まるで山崎の心まで冷やすかのように降り続いている。


「ぁ…いと…せんせいっ…」


悔しくて涙が止まらないのか、山崎は一歩も動けなかった。
怪我は重くて、すぐに病院に行かないと間に合わないくらいのものだ。
それでも山崎がここに居続けるのには、理由があった。


愛していたのだ、あの、冷たい青年を。
ひとめぼれ、というのに近かったその感情は、あえない時間が重なるたびに募っていく。
募りすぎたから、こういうことになったのだ。


覗き見するつもりはなかった。
ただ、命令だったから。
命令だったからと自分を偽って、彼を見ようと思った。


どんなことを話していようがかまわない。
ただ、先生の顔が見たい、その一心で山崎は伊藤の私室を覗いていた。
しかし、そこで見聞きしたことは。
山崎の許容範囲を超えていた。
そんなことを考えて、山崎は気が付いた。


自分は、誰を優先して走っていた?


「あはは…俺、伊藤、先生よ、り、副長、選んじゃった、じゃん。」


息も絶え絶えに、少年は進んだ。
取り返しがつかない道は、戻れないのだ。


ただひたすらに、少年は進んだ。
自分が隣に居なければならない人のために、進み続けた。


「…っ…うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
叫び声は、静かに木霊する。


彼を最後に傷つけたのは、自分だった。


きっとこのままなら、真選組は壊滅だろう。
だから、だからこそ。
『彼』にそんなことはさせないと、山崎はただただ前へ進んだ。


後ろなんか、振り返れなかった。

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はい、支離滅裂その4くらいです。
山崎が鴨のこと好きな小説初めて書いたかも…。
それも書いたの3ヶ月前というww
山崎可愛いなぁとまた思う今日この頃。