二人でご飯を食べていると、なんと二人の顔がテレビに映った。
はしゃいでいる山崎をよそに、土方は黙々とご飯を食べつづける。
山崎の目の前に居る店主が顔を真っ青にしているが、そんなことを気にしていたら人殺しは勤まらない。
お代の代わりに店主の頭をぶち抜いて、土方と山崎は車に乗った。
間違った二人羽織
土方が珍しく運転がしたいと言ったので、山崎は一週間ぶりに助手席でのんびりしていた。
クナイの数と拳銃の弾数、刃こぼれの具合などを調べていくがどれも芳しくない。
土方は淡々と運転をしているし、機嫌は悪くなさそうだがこれを伝えたらどうなるかわかったもんじゃないのだ。
下手をすれば、山崎が殺されかねないのだ。
確かに土方の為に新しい世界を作るのが山崎の仕事だ。
そのためには自分の命なんか屑の一つでしかないと思っている。
ただ、今はそのタイミングではないのだ。
土方よりずっと道を知り尽くしている山崎が居なければ、ここまでの逃避は出来なかっただろう。
土方よりずっと人の殺し方を知っている山崎が居なければ、ここまで生き長らえられなかっただろう。
土方よりずっと土方自身を愛している山崎が居なければ、ここまで彼はこなかっただろう。
そんな自負が、山崎を殺さずに奮い立たせていた。
どうやって話を進めようか、と思った矢先、土方がいきなり車の方向をナビの道順から逸らした。
どうかしましたか、と山崎が聞いても、土方は一つも答えない。
ただひたすら、車を飛ばすだけだ。
ここに来て山崎は土方にハンドルを取らせたことを後悔していた。
少しだけ精神が錯乱している彼が、どんな行動を取るか予想できなかったわけじゃない。
なのに、それを怠ったのだ。
山崎が後悔をしていると、土方は倉庫の前で車を止めた。
そして初めて山崎のほうを見やると、ついて来い、と言いはなつ。
はいよっ、と武器を纏めてついていくと、そこには生臭い光景が広がっていた。
攘夷志士の縄張なのか、刀や拳銃、クナイなど危なっかしい物をもった連中が会議をしていたのだ。
いきなりドアを開け放った土方に、自然と視線は集まる。
そして、土方は、楽しそうに、楽しそうに、叫んだ。
御用改めである!!
しかし攘夷浪士も馬鹿じゃないのか、ニュースで見た、ただの殺人凶だと理解している。
後ろに、真選組が無いことも。
卑下た笑いを浮かべると、いっせいに土方と山崎に襲い掛かってきた。
それらの半分くらいを一気に切り捨てると、土方はまた笑った。
とても楽しそうに、子供がおもちゃを買ってもらった時のように、笑うのだ。
かかってこいや!!という雄たけびとともに、また世界は紅く染まる。
山崎もここでやっと自分の意志を取り戻し、襲い掛かってくる攘夷志士を切ってゆく。
毒針を投げ、クナイを投げ、斬りつけ、撃って、どんどん攘夷志士の数は減る。
あらかた片ついたところで、土方はまた山崎を見やった。
武器がねぇんだろう。
ここから好きなだけかっぱらっていこーぜ。
とうとう帰ってきた土方十四郎に、山崎は飛びついた。
はいよっ!やっぱり愛してます副長!
一生ついていきます副長!
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二人羽織の続き。
こんな感じで狂った二人を書きつづけますよ私は!!(黙ってくれ
途中から万斉とか銀時とか出したいけど、でたら殺しちゃうどうしよう状態です。
2009/08/02
Mizuna.K